【第3回】地域のチカラ
「うちの子にも楽器を」から始まった地域の一歩
— 生駒エリアに見る、保護者主体の音楽活動づくり
「うちの子にも楽器を吹かせてあげたい」
ある日、そんな声がこどもゆめひろばに届きました。
その方は、自身も吹奏楽団に所属している保護者の方。楽器の楽しさを知っているからこそ、自分の子どもにも、音楽とふれあう場を作ってあげたい。そう思ったのがはじまりでした。
地域によって状況が異なる中、吹奏楽が盛んなまち・生駒市でも、校区によっては放課後の音楽活動に十分な機会がないケースもあります。
「環境が整っていないなら、自分たちで作れないか?」と、小さな行動が始まりました。
保護者発の小さな声に、NPOができること
ご相談を受けた時点では、まだ団体も拠点もない段階。
経験のある保護者の方が中心となり、「月に数回でもいいから、子どもたちに楽器体験の機会を作れたら」という気持ちで、知人同士で声を掛け合いながら動き始めておられました。
けれど当然、課題も山積みです。
- 楽器がない
- 練習場所ってどうしたらいいの
- 指導やサポートをしてくれる大人が足りない
- そもそも「どこから始めればいいかわからない」
そこで、私たちこどもゆめひろばが“一緒に考えるパートナー”として並走することになりました。
「やってあげる」ではなく、「一緒につくる」
私たちの支援スタンスは、“主役は地域の人たち”。
私たちはあくまで「もう一人のメンバー」として、現場のニーズに合わせて動きます。
具体的には:
- 練習場所の相談や手続きのアドバイス
- 使用できそうな備品や楽器の貸し出し
- 指導者のマッチング
- イベントや体験会の企画・広報補助
- 会計・保険・保護者対応など運営面のアドバイス
など、団体立ち上げから継続運営に必要なサポートを、伴走型で行っています。
「我が子のため」が「地域の子のため」に
この活動では、保護者の方自身が企画や運営を担っておられます。
自分の子の送迎に来たついでに、楽器の運搬を手伝ったり、他の子の面倒を見たり…。その中で、徐々に“わが子中心”の視点から、“地域の子どもたち全体を支える”気持ちに変わっていくのを、私たちも実感しています。
無理のない範囲で、少しずつ関わる人が増えていく。
それが、地域に根ざした文化活動の芽になるのだと思います。
“ゼロ”からでも始められるように
もちろん、地域の団体を立ち上げるのは簡単ではありません。
でも、この生駒での事例が教えてくれるのは、「特別な資格がなくても、小さな想いからスタートできる」ということ。
今、地域には、「子どものために何かしたい」と思っている保護者や大人がたくさんいます。その想いがつながれば、学校の枠を超えて、子どもたちの学びや出会いの場をつくることができます。
次回は…
次回は、行政が主体となって展開を進めているモデル(京田辺市の事例)をご紹介します。
「公」と「民」がどう連携すれば、より多くの子どもたちに文化活動の機会を届けられるのか、そのヒントをお伝えします。
このような立ち上げを検討中の地域・団体の方には、個別相談やモデル見学のご案内も可能です。
「まずは話を聞いてみたい」という段階でも、どうぞご連絡ください。