【第4回】公と民で支える
公と民で支える、子どもたちの文化活動の場づくり
— 行政が主導する展開モデルの実践(京田辺市・合唱の事例)
これまでの記事では、NPO主導や地域主導で立ち上げた音楽活動の事例をご紹介してきました。
今回は少し視点を変え、行政が主体となって進めている合唱活動の取り組みをご紹介します。
舞台は京都府京田辺市。
ここでは、市が明確に「子どもたちの文化活動を地域で支える」という方針を掲げ、私たちNPO法人こどもゆめひろばが合唱クラブの運営委託を受けるという形で協働しています。
教員の想いが「地域での継続」につながった
このケースの大きな特徴は、学校で合唱部を長年指導してこられた教員が、そのまま地域クラブでも指導を継続されているという点です。
部活動としての運営が難しくなった今、「子どもたちの成長を引き続き見守りたい」「歌の楽しさを伝え続けたい」という先生の強い想いに、行政と地域が応えた形です。
子どもたちにとっても、指導者が変わらず活動が続けられるというのは大きな安心材料となり、新たな環境への不安を和らげることにもつながっています。
行政とNPO、それぞれの役割と連携
この取り組みでは、京田辺市が事業主体となり、こどもゆめひろばが運営実務を担う**「公設民営」の形**で活動が進められています。
- 市は、活動場所(公共施設など)の確保、予算措置、広報、安全管理などを担い、制度面の支援を行います。
- NPOは、クラブの運営・子どもたちの受け入れ・保護者対応・イベント企画など、現場に必要なあらゆる実務を担当します。
このように、行政が制度と継続性を、NPOが柔軟性と現場力を発揮することで、子どもたちにとって安心して参加できる環境が整っています。
地域とともに育てる合唱クラブ
この合唱クラブは、単なる「活動場所の確保」だけでなく、地域とのつながりも意識しながら育てられています。
- 学校の音楽室を使用する際の安全・セキュリティ対策
- 保護者との連携による送迎や見守り体制の構築
- 地域行事や発表会への参加による地域との交流
- 将来的には地域を超えた“歌の輪”を育てていく構想も
音楽活動を通じて、子どもたちが地域とつながり、地域に見守られる関係が少しずつ育まれています。
「好きなことを、続けられる」社会へ
制度が変わっても、子どもたちの「歌いたい」「続けたい」という気持ちは変わりません。 だからこそ、これまで関わってきた大人たちの想いと経験を、地域で活かせる仕組みが必要です。
京田辺市の合唱クラブはその一つのモデルです。
行政が主導しながら、NPOと現場の先生が連携し、子どもたちの文化活動を丁寧に支え続けています。
次回は…
次回は、地域で音楽や文化活動を展開する際に必ず直面する課題、
「人が足りない」問題と、それを補う“チューター制度”の活用例についてご紹介します。
「先生の力を地域でも活かしたい」
「行政主導での立ち上げを検討しているが、運営体制に悩んでいる」
そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。制度や形ではなく、“子どもたちに何を残したいか”を一緒に考えていきましょう。