「なら夢鹿BRASS」練習報告

― 部活動地域移行の中で、学校の外に続く“もうひとつの吹奏楽部” ―

今日のなら夢鹿BRASSは、うれしい出来事からスタートしました。
クラリネットパートに新しい新入部員が仲間入り。さらに、前回見学に来てくれていたチューバの1年生も、正式に入部してくれました。少しずつ仲間が増えていくたびに、練習場の空気も明るくなり、音の厚みも増していくのを感じます。

なら夢鹿BRASSは、登美ヶ丘北中学校・ならやま中学校を中心に、複数の学校から中学生が集まって活動する地域バンドです。
学校の部活動が縮小・廃止され、放課後の活動の場が変化していく中、「学校の外でも音楽を続けたい」子どもたちの受け皿として、地域での練習が毎週続いています。
吹奏楽を通して、学校の枠を越えた仲間づくりと、安心して過ごせる居場所づくりを大切にしています。

今日の練習は、2月の「ゆめまつり」に向けた曲づくりを中心に取り組みました。


まずは、音づくりも兼ねて春から練習している吹奏楽の名曲『アルセナール』。曲の雰囲気がまとまりつつあり、合奏の手応えも強くなってきています。
続いて、大人気のMrs. GREEN APPLE『ライラック』。メロディもリズムも魅力的で、子どもたちの気持ちも自然と上がります。
さらに、『楽器紹介のためのスタジオジブリ曲集』にも挑戦。各楽器にソロがある構成なので、どのパートも「ここは自分の出番!」と真剣そのもの。ソロに向けて必死に練習する姿がとても頼もしく見えました。

練習前後には、みんなで協力して打楽器を運び、セッティングと片づけを行いました。最初は時間がかかっていた作業も、最近は手際よく進むようになり、チームとしての成長を感じます。
音楽だけでなく、準備や片づけもみんなで担うことが、地域クラブとしての力を育てています。

合奏中に「音が分からない」「どこを吹いているのか迷った」「リズムや指使いが不安」といった場面があると、すぐにチューターの方がそばに来てアドバイスをしてくれます。困った瞬間に支えてもらえる環境があるからこそ、安心して挑戦でき、楽しく練習しながら上達していける工夫が詰まっています。
学校の部活動とは違い、複数の大人が関わり、子どもたち一人ひとりの様子に寄り添えるのも地域バンドの特徴です。

今日は奈良県教育委員会の方が練習の様子を見学に来てくださいました。
子どもたちの熱心な姿勢や、ゆめひろばとしての運営の工夫に感心され、たくさん質問もしてくださいました。
地域での吹奏楽活動が、子どもたちの居場所や成長の場として確かな意味を持っていることを、改めて実感する時間になりました。

そして子どもたちが帰ったあと、今度は大人たちの時間へ。
午前中の練習に付き合ってくださったチューターの皆さんと合流し、午後からは一般吹奏楽団の練習が始まりました。
同じ場所を中学生地域バンドと大人の吹奏楽団がシェアすることで、子どもたちは大人の打楽器を借りられたり、経験豊かな大人がチューターとして関わってくれたりと、活動の幅が大きく広がっています。
地域の中で“演奏の場・指導の場・楽器の資源”を共有できていることは、持続可能な地域クラブづくりの一つの形だと感じています。

新しい仲間とともに、ゆめまつりに向けて、また一歩ずつ。
これからの成長と本番の演奏がますます楽しみです。


部活動の地域移行が進む今、学校の外に“もうひとつの吹奏楽部”を地域で育てる挑戦が続いています。
なら夢鹿BRASSは、これからも子どもたちの音楽の場と居場所を守り、広げていきます。

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